♦︎妊娠時の歯みがき
妊娠時に最初に気をつけなければいけないことは、歯・お口の清掃です。
妊娠初期の2ヶ月頃からつわり(悪阻)が現れてきます。
教科書的には妊娠4ヶ月頃までには消失することがありますが、実際には妊娠3ヶ月頃には約80%の方がつわりを認め、それ以降においても60~70%の高い出現率で全妊娠期を通して認められます。
つわりがあるときは歯みがきをすることがつらく、特に奥歯は磨きにくくなります。このような時は、香料の強い歯磨き粉を避けたり、小さめの歯ブラシに変えるなどの工夫をしてみましょう。また、顔を前傾させ、前にかきだすように磨くと、ブラッシングがしやすい場合があります。虫歯予防のためには、まずは妊娠初期のブラッシングを丁寧にし、怠らないことが大切です。実際、つわりがある中で十分にブラッシングができる妊婦さんは少なく、つわりの重い方では、歯みがきが何ヶ月にもわたってできない場合もあるのです。長い期間ブラッシングができないと、虫歯予防は極めて難しくなるのです。
♦︎妊娠時の食習慣
お腹のなかの赤ちゃんが大きくなってくると、消化管も押し上げられるように圧迫されて、一度に食べることのできる食事量が少なくなってきます。妊娠時は間食が増え、妊娠7ヶ月では1日1回だった間食も、8ヶ月をすぎると2回3回と増える方も多いようです。スナック菓子のようにすぐに食べられる菓子類を食べることも増えやすいです。だらだら食べに注意しましょう。
♦︎妊娠と歯周病
第一に妊娠初期のつわりが原因で歯みがきが十分にできなくなる期間が出てきてしまうために、歯みがきができないと当然、お口の中の細菌は増加してしまいますので、歯周病に罹りやすくなります。
そのほかに、ホルモンの影響もあります。妊娠すると胎盤や妊娠黄体からエストロゲン(卵胞ホルモン)、プロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌が増加します。このエストロゲンは細胞の増殖に関与すると言われていますので、歯肉に炎症が起きると、腫れやすくなるということになります。
また、プロゲステロンというホルモンは、過剰分泌により血管の透過性が亢進する(血管内の血液成分が血管壁から外に漏れやすくなる)と言われているので、これも歯肉の腫れなどの炎症症状に関与すると考えられます。
妊娠が直接歯周病の原因になるということではなく、歯周病を増悪させる要因になる可能性がありますので、妊娠中は特にお口のお手入れを怠らないようにすることが大切です。
歯肉炎がどんどんひどくなると歯を磨こうと思っても痛みが強く、出血も多くなり、全く手のつけられないような状態になってしまう恐れもあります。
歯周病、虫歯の予防は、妊娠初期からの予防がとても大切です💡